〇橋を架けよう(13)
3.3 諸手続き
入札によって落札業者が決定すると、契約が行われます。契約書の取り交わしが行われて、初めて作業に着手することになります。
すぐに工事にかかるかというと、まだまだ、手続きや準備が必要です。
(1)発注者と施工業者の打ち合わせ
・着手打ち合わせ
発注者から施工業者へ、作るものの仕様、設計図などが提供されますが、それだけでは工事はできません。実際に工事するためには、さらに詳細な条件の確認が必要となります。
まずは、発注者が仕様を施工業者に説明するとともに、施工業者が仕様書を確認、疑問点などを確認する打ち合わせが行われます。
着手打ち合わせには、発注者、施工業者とも責任者が参加します。施工業者側は施工内容と費用に関する話も行われることが多いので、営業担当も出席することが多いです。
この時に、計画策定のための現場の下見の許可なども得ます。
・施工計画打ち合わせ
現地確認や、仕様書をもとに施工業者が施工計画、安全計画を作成し、発注者と内容の確認を行います。使用する材料、機材、工法、手順、安全対策、施工体制など工事に直接関係することから、地元対策、各種届出など多くの事を決める必要があり、現場着手まで何回も打ち合わせが行われます。
この時、施工を安全に安価にできる方法の導入など、仕様の変更を行うことがあります。
(2)諸手続き
工事に着手するためには、役所への様々な届け出が必要です。
・労災関係
保険関係成立届
労働保険代理人選任届
建設物・機械等設置届(25項目のうち該当するもの)
今回の工事では、機械集材装置、運材索道、型わく支保工、架設通路、足場
工事計画届
・保安規程(自家用電気工作物に係る保安規制)
仮設電源の設置
・河川法
河川用地内への工作物の新築・改築・除却
〃 土地の掘削、盛土等の形状変更
〃 土地の形状変更、工作物の新築・改築
・土壌汚染対策法
地形改変
・自然公園法
指定の解除及び区域の変更
工事車両の通行
交通規制
道路占用
・森林の伐採
伐採および伐採後の造林の届出
(3)地元との調整
工事を行うと、工事車両の通行、工事による騒音、震動、ほこり、作業員の宿舎といった地元住民に関わる事項も多くあります。地元自治体や自治会などと話し合いを行い、住民と良好な関係を持つことが必要となります。
場合によって、住民説明会を行うこともあります。
今回、川が関係した工事です。河川は、水を利用している利水関係者、漁業を行う内水面漁協が関係することもあるので注意が必要です。
(4)施工体系
施工体系の策定は、計画、諸手続きに必要となります。今回の工事の施工体系図は以下の通りとなります。
全体を管理する元請け会社を筆頭に、土木工事を担当する会社、建築工事(橋梁の鋼構造)を担当する会社、軌道、電気設備など各種工事担当会社、コンクリート、鋼材など材料を提供する会社、建設機械のリース、運輸、産業廃棄物処理など多くの専門業者が関係します。工事内容の難度が高い場合は、施工管理を行う別会社が加わることもあります。