〇橋を架けよう(12)

3.2 入 札

 積算が終了すると、施工を行う業者を決めるための入札が行われます。

 入札には、参加する業者の選定方法による区分、入札を行う方法による区分、選定方法による区分がある。

 参加する業者の選定方法は以下の3つに区分される。

  • 一般競争入札(参加を希望する業者が自由に参加できる。参加前に提出する参加者の能力書類でふるい分けが行われることもある)
  • 指名競争入札(事前に発注者に業績などの書類などを申請しておき、その業績や処理能力から、発注者が入札参加者を指名する)
  • 随意契約(事前に発注者に業績などの書類などを申請しておき、その業績や処理能力から、発注者が実施する業者を指名し、契約する)

 入札を行う方法は以下の3つに区分される。

  • 紙入札(紙に書いた入札書を入札会場で入札箱に投函する)
  • 郵便入札(紙に書いた入札書を郵便で発注者に送付する)
  • 電子入札(Web「電子入札システム」を使用して入札を行う)

 選定方法は以下の3つに区分される。

  • 価格競争(価格が最も安いものが落札者になる)
  • 企画競争入札;プロポーサル方式(技術提案書を提出し、技術評価点が最も高いものが落札者になる)
  • VE方式、総合評価方式(特定の設問に対する提案書と入札価格を提示し、技術評価点と価格の両方を点数化し、点数の最も良いものが落札者となる)

 

 これらの入札方式は、業務の内容や価格、重要度などにより選定されます。

(※詳細は、各キーワードで調べていただければ、いろいろな情報が得られます)

 

 ここで、少し細かな話をします。

 落札価格は、どれだけ安くてもよいというものと、その業務を品質を確保でしつつ遂行できる最低ラインの価格(最低基準価格)を設定するものがあります。

 どれだけ安くてもよいという案件では、1円入札というのが行われることがあります。0円ではサービスになってしまうので1円という価格を設定しています。

 発注者は安く行ってもらいたい一方で、品質も確保したいという要望もあります。価格を落とすため品質を落とすということがないように、品質を確保できるであろう最低限の価格(最低基準価格)を設定することもあります。第一落札候補者の価格が最低基準価格を下回った(低価格入札)場合、低入札価格調査制度に基づく調査を行います。業者が提示した落札価格で品質が確保できるかを、業者に利益計画、品質計画などを提出させ、発注者が資料の審査、ヒアリングを行います。審査の結果、問題ないと判断されれば第一落札候補者と契約、品質が確保できないと判断された場合は第二落札候補者と交渉に入ります。第二落札候補者も低価格入札の場合は、低入札価格調査が行われることになります。低価格入札で受注した場合、業務遂行段階で何回も確認調査が行われ、品質が確保されているかのチェックが行われます。

 価格競争で、入札金額が同じとなった場合、くじ引きとなります。

 技術評価は、技術提案書の内容やヒアリングによるものもありますが、業務に従事する技術者の資格や経歴も評価対象になります。評価基準は依頼書に明示されています。高得点を得るためには、明示された評価基準にいかに近づけるが勝負となります。技術提案書やヒアリングの評価では、明示された問題点や課題にいかに明確・適切に答えているかとなります。技術者評価であれば、より高度な資格(技術士、博士)を有しているか、高い評価を得た同種業務の経歴を有しているかとなります。

 高い評価を得た同種業務の経歴も公的な評価を得たものになります。公的な評価としてはテクリス、アグリスなどがあります。

 紙入札は、入札書を入札箱に投函します。入札書には厳格な書式が発注者によって決まっています。宛名、金額の書き方、捺印の位置などが細かく決まっています。決まりに従っていない入札書は入札書として認めれません、場合によっては入札失格となります。失格とななった場合、ペナルティー(次の入札の回避や、会社の評価点が下がるなど)を追うこともあります。

 紙入札は、入札室で行われます。入札室には発注者が前に、業者が後ろに向かい合って座ります。発注者側は入札の進行を行う人と入札に不正がないかを関する人の最低2名が出席します。業者側はおおむね各社1名参加となります。

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紙入札状況(1)

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紙入札状況(2)

 入札室の発注者の前には入札箱が置かれ、順番に名前を呼ばれた業者が入札書を入札箱に投函してゆきます。投票と同様、最初の入札者は入札箱の中に何もないことを確認します。

 入札が完了すると、その場で、開封され、落札者が決定します。



 いよいよ工事スタート・・・ではなく、まだ事務手続きが続きます・・・・

 

※今回の部品集です。

 今回は事務室セットと折り畳みの机とパイプイス、入札箱です。こういった小物も手順に沿って作ってゆくと、簡単ではありません。

 事務室セットの床をどのように仕上げるか考えましたが、濃淡の違う黒の格子模様が一番しっくりときました。

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事務室セット・折り畳み机・パイプイス・入札箱