〇橋を架けよう(8)
2.8 施工計画
詳細設計を、現地で施工するために、施工手順、仮設計画を決める必要があります。
どのように施工するか手順を以下に示します。
(0)現況法面
(1)橋台施工のための仮設構台設置
橋台は杭基礎で施工します。よって、杭を設置するための地盤掘削を行う足場として、工事用構台を設置します。
(2)杭施工用の孔の掘削
杭は岩盤まで掘削して設置します。構台から掘削しますが、オーガードリルなどの重機を使って掘削する方法と、ライナー(土砂の崩れるの抑える型枠)を設置しながら人力で掘削する方法があります。
今回は、トンネルのない右岸側から資材を搬入する計画とするため、重機が入ることができる、右岸上段は機械掘削が可能ですが、左岸や下段は重機を入れるのが困難です。右岸上段だけのために重機を入れるのは施工手間で費用が嵩むので、普通は全箇所人力掘削としますが、今回は施工状況を示すため右岸上段は機械掘削、その他は人力掘削とします。
(3)杭施工
杭基礎は、地盤を掘削し、その穴に鉄筋を挿入、コンクリートを流して現地で杭を施工する場所打ち杭と、地盤を掘削した孔に工場作成した鋼製もしくはコンクリート製の杭を挿入し既成杭工法があります。孔の設置同様、重機が入りやすい右岸上段は既設杭施工が可能ですが、他の地点は現場打しかできません。掘削同様、本来なら現場打に統一するものですが、今回は、右岸上段は既成杭、その他は現場打杭とします。
(4)上段工事用足場撤去とワイヤークレーン設置
橋台が設置完了したら、橋をせっちするのに干渉する上段の工事用足場を撤去します。
撤去が完了したら、橋を組み立てるためのワイヤークレーンを設置します。今回は、アーチ部を左右岸で縦に組立るので、一定期間支えられる構造物が必要です。また、アーチ部が組み上がった後も索道による資材組立にも利用します。
(5)~(8)アーチ部の組立
下段の橋脚にワイヤークレーンを使ってアーチ部を組み立ててゆきます。組み上がった部分は、ワイヤークレーンの支柱から支えを取ります。
(9)アーチ部結合
左右岸で立てて組み上げたアーチ部を支承部の回転を利用して倒して行き、中央部で結合します。
今後は、このアーチ部が足場となります。
(10)左右岸を結ぶワイヤークレーンに段取り替え
上部構造物組立に使用する左右岸を結ぶワイヤークレーン(索道)に段取り替えを行います。
(11)アーチの上に縦部材を設置
ワイヤークレーンを用いて、岸に近い側の縦部材を設置します。
(12)縦部材にプレートガターを支える部材を取り付ける
アーチ橋と岸はプレートガーター橋で結ばれます。アーチ側のプレートガーター橋を受ける部材を縦部材に取り付けます。
(13)斜部材の設置
縦部材が倒れないように、斜部材を設置します。
(14)プレートガーター橋の設置
工場で作成したプレートガーター橋を設置します。このプレートガーター橋を使って、中央部への足場とします。
(15)下段工事用構台の撤去
下段橋脚付近の工事が完了し、以降、アーチ部を足場として作業ができるようになるので、下段工事用構台を撤去します。
(16)次のスパンの縦部材、斜部材を設置する
次のスパンの縦部材、斜部材を設置する。
(17)縦部材の上に上部構造物を設置する
組み上がった縦部材の上に上部構造物を設置します。この上部構造物を使って、中央部への足場とします。
(18)~(20)中央部に向かって縦部材、斜部材、上部構造物を設置
中央部に向かって縦部材、斜部材、上部構造物を設置し、中央部で結合します。
(21)ワイヤークレーンの撤去、主要構造物の塗装
建設に使用したワイヤークレーンを撤去します。
並行して、これまで組み立てた構造体の塗装を行います。主要部材は塗装されて運びかまれますが、接合部などは、塗装ができない、塗装が剝がれるなどがあるので、仕上げ塗装がこの段階で行われます。
(22)路盤の設置、周辺整備
路盤や付帯設備の設置、周辺の整備を行い、橋の構造物は完成となります。
今回は鉄道橋ですので、線路を設置して完成です。
次から、いよいよ工事編?です。