〇橋を架けよう(6)

2.6 調査結果

 詳細調査の結果をまとめます。

 

・測量調査結果

 測量調査結果は、平面図と断面図にまとめます。

 平面図には、構造物や等高線が記載されます。構造物はその材質(コンクリート;Coやアスファルト;Asなど)を記載します。川や池では水であることを示す「W」を記載します。川や池では深浅測量で深さを測定し、その結果を記載することもあります。

 なお、深浅測量は錘の付いたメジャーで直接測定する、船から音波を発信し、反射してくる波の到達時間で求める方法などがあります。

 等高線は、任意点や変曲点の標高を計測し、それらを図上で配分して求めます。

 

 今回は、橋の設計に使用するため、既存構造物の位置や標高のほか、河川内の深さ、ボーリング調査位置、工事基準点の設置なども併せて実施しています。

 高さは、三角点や水準点などの公共基準点ではなく、川岸を0cmとした工事だけに使用する標高値を使用しています。

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測量成果

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測量成果凡例



 次は、地質調査結果です。

 

・地質調査結果

 地質調査結果は、調査で直接得られたものを取りまとめた、ボーリング柱状図、地質断面図、地盤物性値、それらから得られた知見に関するコメントとなります。

 地質分布は、ボーリングで採取された地質サンプル(コア)から判断します。観察結果はコメントとしてまとめておきます。

 地盤の固さは、掘進速度や押し込み圧力などの掘進中の進捗情報や標準貫入試験結果から判断します。

 ボーリング作業では上記以外にも掘削に使用する水の送水量と帰ってきた量から地盤の亀裂の状況を知ることができます。

 ボーリング作業中の孔内水位の測定から地下水位の把握もできます。

 上記、地質分布や地盤の固さ、水位を孔毎にまとめたものが地質柱状図です。

 

 各地点の地質情報を断面として整理したものが地質断面図です。

 ボーリングから得られる情報は、調査地点のみの情報です。そこで、地点の地質情報に技術的な判断を加えて連続性を推定することになります。なぜ、単純につなぐと言わないのか?例えば、地点の間に断層があれば、地層にずれが生じているはずですが、ボーリング地点の情報にはそれは現れません。このように、地質断面図の作成には技術者の高い技術力が必要になります。

 

 設計には地盤の物性値が必要になります。調査では、多くの試験を実施し、その結果に技術的な判断を加えて、設計採用値を求めます。地盤は非常にばらつきが大きい材料です。調査も無限に実施できません。そこで、地層区分した各地層の代表と思われる資料を採取し試験を行います。それでも、試験結果にはばらつきが出ますので、それを取りまとめるために技術的な判断が必要になります。

 物性値間には推定する関係性が提案されています。最も多くの物性値と相関性が提案されているのは標準貫入試験から得られるN値です。

 

 では今回の調査結果を示します。

 ボーリングは、橋台が設置される場所、左右岸、各2か所、計4か所で実施しました。左岸側には水平のボーリングがありますが、これは、トンネル設計に際して事前に実施したものです。このように、既存調査結果を合わせて整理することも多く行われます。

 地層構成やN値、地下水位、各地層の特徴をまとめた一覧表を地質断面図にまとめています。

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地質断面図(路線方向)

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地層構成表(拡大)

 今回は、路線方向だけですが、縦断方向、構造物に合わせた位置で適宜断面を作成します。

 次は設計物性値です。この調査では主にN値から値を推定しています。

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設計採用値一覧表

 地質に関するちょっとした知識です。

 地質分布で、右岸から左岸に向かって約20°の角度の層理を有すると設定しています。このような構造を持つ斜面を受け版、流れ版といいます。流れ版では地滑りが起こりやすいという特徴があります。

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受け版・流れ版 概念図

 そのため、右岸は崩積土が厚く、左岸は崩積土の下に風化帯が分布するという想定となっています。

 

 これらの情報を基に、次は詳細設計となります。