〇橋を架けよう(1)

0.はじめに

 橋のセクションを作る計画を始めます。

 ただ作るのではなく、著者の経験を基にした、橋の計画から施工、完成までを順を追って記事にしてゆきたいと思います。

 

1.計画

1.1 路線計画

 まずは、路線ルートの選定です。

 路線の目的(輸送量、速度)から路線規格(勾配、曲線)を決めます。

 

 既存の地形図などの資料を基に、計画路線の位置を決めてゆきます。

 資料には、地形図のほか地質図、埋蔵文化財、自然保護地域、井戸利用、ハザードマップ、集められる資料はできるだけ集めます。

 

 既存交通機関や各種施設との位置関係から駅の位置を決め、路線規格で地点間の想定されるルートを考えます。検討に際しては、その間にある山、川、集落、埋蔵文化財、自然保護地域などを考慮します。

 鉄道の路線を計画する際、川や山、集落などを、どう取り込み、横断するかが問題となります。

 現在の鉄道は、土木工事の技術や車両性能の進歩で、川や山その他の障害物をこう配や長大橋梁、長大トンネルなどで克服することが可能です。しかし、昔は技術が進んでいませんでしたので、川は橋の長さを短くするよう、狭い場所で直角に横断するように、山はできるだけ緩い勾配で上り、短いトンネルで抜けるようにしていました。

 

 おおよそのルートが決まると、線路構造を決めてゆきます。

 交差する構造物(アンダーパス、オーバーパス)や周辺への影響(日照、騒音、地域分断・・)から高架・地平・掘割・トンネルなどの線路構造を決めることになります。 

 それらを総合してルートを選定します。

 

 

1.2 概略設計

 おおよそのルートが決まると、施工が可能なのか、施工にはどのくらいの費用がかかるのか、どのような影響があるのかを決める概略設計が行われます。

 施工可能性や施工費用を出すためには、もう少し具体的な構造を決める必要があります。

 路線構造の検討では、地質図を見て、地質的な問題点(地滑り、軟弱地盤、断層)を検討します。高架構造では、構造物の支持層の深度、盛土では沈下するような軟弱地盤はないか、掘割構造では土留めの側圧、地下水を遮断もしくは井戸水を枯らすことはないか、トンネルでは、地下水、地表の沈下、土圧などを検討します。

 構造が決まると、どのような施工法でどんな材料を使わなければならない、施工にはどのような準備が必要、完成までの日数などの検討ができます。

 また、施工中や開業後の騒音や日照、景観の検討ができるようになります。

 

1.3 環境アセスメント

 概略設計の結果を基に、この工事が環境へ与える影響を住民に開示し、意見を聞く、環境アセスメントが行われます。

 首長は住民意見を反映し、計画の見直しなどが行われます。

 

1.4 詳細設計 

 環境アセスメントの意見を考慮した計画を基に、詳細設計を行います。

 詳細設計を行うには、地形測量や地質調査などの現地調査を行うことになります。

 

では、ここから、ストラクチャーに目を向けましょう。